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「っ!!」
そこには信じられない光景があった。
大きな男―のように少年には見えた―が床に倒れている人―これは女性のようだ―を手に持ったナイフで何度も何度も刺していた。
その度に刺された女性の体から大量の血が飛び出した。これほどの血が人の体に入っているものなのだろうか。それくらい女性の体から出る血は多かった。
すでに女性は絶命しているようで刺されても体はぴくりとも動かない。
しかし大男はなおも女性の体にナイフを刺し続けた。
尋常とは思えない。
狂っている。
少年から見た大男は、人と呼ぶにはあまりにもそれとはかけ離れていた。そうそれはまさに悪魔と呼ぶにふさわしいものであった。
その瞬間、少年の喉から何かどろどろしたものがこみ上げてきた。
「ごほっ!がはっ!はぁはぁはぁ」
少年は吐いた。
そしてその場にうずくまった。
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