1人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
ヤバい!
早く逃げないと!
しかし気持ちとは逆に体が言うことを聞いてくれない。
窓が開いた。
そこには顔中を血で染めた男の顔があった。
「っ!」
またも少年を強い吐き気が襲う。
「お前見たのか?」
「・・・」
少年は何も言えない。
「恐怖で何も言えないか。見られたからには…」
少年はその先を聞く前に大きく首を横に振った。
「嘘をつけ!お前も来い!さっさとしろ!」
少年は力を込めて立ち上がろうとした。しかし持ち上がらない。
それが男をさらに苛立たせた。
「何をしている!さっさとしろ!」
声をますます荒げる男。しかし何を言っても動こうとしない少年。
そこで初めて男は少年が腰を抜かしていることに気が付いた。
「うん?お前もしかして腰が抜けちまってるのか?」
それに頷く少年を見て男は大声を上げて笑った。
「傑作だな」
そう言いながら男は片手で少年を持ち上げると乱暴に部屋の中に放り投げた。
最初のコメントを投稿しよう!