~本性~

6/13
前へ
/447ページ
次へ
私は絶句した。 目の前の光景はあまりにも残酷で、そこらの喧嘩とは断然、格が違った。 一斉で俊ちゃんに襲いかかった不良達は、一分もたたないうちに俊ちゃんにやられてしまった。 もう、不良達みんなはダウンして、気絶しているのに、俊ちゃんは殴るのを一向に止めようとしない。 私にはあまりにも残酷に見える─…。 俊ちゃんじゃない……。 あの人は…俊ちゃんじゃない! 何故か私の目には涙が溜まる。 私達からの距離でもわかるくらいに、不良達の顔は原型をなくしているようにボロボロだ。 それなのに俊ちゃんは無我夢中で殴っている。 もう……見れない……。 私が目を瞑って俯くと、隣りで淳が深いため息をつき、 「そろそろいくか」 と言い出し歩き出した。  
/447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18953人が本棚に入れています
本棚に追加