~本性~

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私はゆっくりと顔を上げると、淳は俊ちゃんの元へと歩き出していた。 慌てて私もゆっくり歩き出す。 淳が俊ちゃんの元に着いた。私は俊ちゃんと淳の少し後ろで止まる。 近くに近付いたことで、殴る音が新鮮に聞こえた。 「……おい。俊、もうやめろ」 淳が静かに言い、俊ちゃんの殴っていた手を掴んだ。 俊ちゃんはジタバタと動かしていたが、落ち着いたのか、前が見えたのか動くのをやめる。 「…………」 俊ちゃんの手を見ると、返り血と擦り傷でボロボロだった。 不良達は顔が変形しているのに、俊ちゃんの顔は傷一つもなく、かっこいいままだ。 「ほら。行くぞ」 淳は俊ちゃんの手を引き、マックへと歩き出す。 私もハンカチを一枚、その場に置き、マックへと向かった。 ハンカチはみんなで血を拭いてくださいと言う意味で。  
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