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なんか…涙腺が緩んできた。
涙目になってきた私に対して、俊ちゃんはその場にしゃがみ込み、壁によしかかる。
私はジッとその行動を見ていることしか出来ない。
洩れそうな涙を俊ちゃんに見えないように拭いてると、俊ちゃんが喋り始めた。
「……はっきり…言っていい?」
俊ちゃんの言葉に私は頷くことしか出来ない。
「俺……
始めからお前のこと覚えてた」
───え?
「言えなかった理由は……今はまだ言えない。
俺も……お前のこと忘れたことなんかない。
お前に10年振りに再会した時さ、お前学校で迷子だったじゃん?
その時から気付いてた。
“瑠愛”だって─。
まだお前は俺だって気付いてなかったから、黙ってた。
それにこんな不良に、『俊だ』なんて言われてもお前だって困るだろ?」
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