~初恋~

22/30
前へ
/447ページ
次へ
なんか…涙腺が緩んできた。 涙目になってきた私に対して、俊ちゃんはその場にしゃがみ込み、壁によしかかる。 私はジッとその行動を見ていることしか出来ない。 洩れそうな涙を俊ちゃんに見えないように拭いてると、俊ちゃんが喋り始めた。 「……はっきり…言っていい?」 俊ちゃんの言葉に私は頷くことしか出来ない。 「俺…… 始めからお前のこと覚えてた」 ───え? 「言えなかった理由は……今はまだ言えない。 俺も……お前のこと忘れたことなんかない。 お前に10年振りに再会した時さ、お前学校で迷子だったじゃん? その時から気付いてた。 “瑠愛”だって─。 まだお前は俺だって気付いてなかったから、黙ってた。 それにこんな不良に、『俊だ』なんて言われてもお前だって困るだろ?」  
/447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18953人が本棚に入れています
本棚に追加