プロローグ

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よそから見たら、子どもの遊びかもしれないが、2人は真剣だった。 もしかしたら、もう一生会えないかもと、心の中で思ったのかもしれない。 「じゃあぼくたち、もう…ふうふだね!」 「とうふ?」 「ちがうよ!ふ・う・ふ!」 「ふうふだあ♪」 2人を祝うかのように、桜の花が隙間から入り、周りに舞った。 「きれいだね」 「うん!」 手のひらに花びらを乗せる女の子。キャッキャッと騒ぐ。 「あっ、ちゅうしてない!」 男の子はいきなり叫んだ。 「ちゅう?」 男の子の言葉に女の子は首を傾げる。 「うん!ちゅうはね、けっこんしきとかにするんだよ!」 「そうなんだぁ…。じゃあしよ!」 小さな唇を尖んがらせ、目を閉じる女の子。 男の子は女の子の唇に近付く。  
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