やわらかい日の光

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今日は小春日和という言葉がピッタリな、爽やかな秋晴れ。 朝からやわらかい日の光が病室に降り注ぎ、彼の顔を照らしている。 見舞いに来た瀬川希望(せがわのぞみ)は、彼を起こさないように、そっと内側のカーテンだけを閉めた。 それから慣れた手付きで花瓶の水を取り替え、新しく持ってきたコスモスを生ける。 すると彼がゆっくりと目を開けた。 「…………瀬川さん?」 まだパッチリとは開かない目で、彼女を確認する。 「ごめんなさい。起こしちゃった?」 「んーん、勝手に覚めた」 希望は、まだ舌ったらずな喋り方をする彼、山口未来(やまぐちみらい)を見て微笑むと、学校の鞄を手にとった。 「朝早くにごめんね?今日は放課後来れそうにないから、朝来ときたかったから」 「これから学校?また遅刻?」 時計はすでに10時を回っている。 「いつも俺のためなんかに…ごめんな?」 「謝らないで?私が好きでしてるんだから。じゃあ、行ってきます。まずくてもちゃんとご飯食べてね!」 _
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