ホッカイロ

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「もー、つめたーい。なんで水浴びなんかしたの」  ポタポタ、肩に落ちる冷水。ぶるる、寒気がする。 「……落ち着こうと思って」 「なにそれ、まさか修行? あれは修行だったの?」  もごもご、加賀は口ごもる。無言は肯定でしょ、私はぐいぐい保健室へ向かう。 「せんせー」  保健室のドアをあける。誰もいない。パイプ椅子に加賀を座らせ、タオルを探す。 「もー、保健室なんか来ないからわかんない」  ガチャガチャ、棚という棚を開ける。 「あった」  バスタオルを見つけ、加賀に投げつけた。 「乱暴……」 「うっさい」  棚を閉めると、加賀と対面するようにパイプ椅子に座る。 「へくしっ」  鼻がむずっとした。
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