ホッカイロ

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「へぶし! あー……本格的に寒気が」  私は椅子から立ち上がり、天井についているクーラーへ手を伸ばす。教室はまだストーブだけど、主要な教室はクーラー完備なのだ。 「うー。ぬるー」  手にくるぬくもりはほんのわずか。加賀に言われた通り、寒がりな私にはとてもつらい状況。クーラーの設定温度は一括管理のため、勝手に変えられない。それにクーラーって、温まり方がぬるくて嫌い。ストーブみたいにガッと温まってくれないと物足りない。 「ホッカイロ……」  加賀が私に手を伸ばす。さっき突っ返したホッカイロを、またくれるつもり? 「いらない。加賀のが風邪ひきそうじゃん」  頭乾いた? あげた手をおろし、加賀を見る。 「乾いた、と思う」  加賀は居心地が悪そうに、バスタオルを頭から取った。
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