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帰りの会が終わり、先生が教室を出て行く。
「やっと終わった……」
ぐでっと机に突っ伏す。はあはあ、息が荒い。
「……水野、大丈夫か?」
1時間目の途中で保健室から戻ってきた加賀は、ジャージ姿だった。私に話しかけようとしているのはわかったけれど、こっちから話しかけるのは癪だったので放っておいていた。
「大丈夫じゃないわよ、今すぐ寝たい」
「ごめん、僕のせいか?」
「1パーセントくらいわね」
床に置いていたカバンを持ち、立ち上がる。めまいがした。
「あんた、漏らしたんじゃないかって噂されてたよ」
いたずらに笑い、机の上にカバンを置く。同じように床に置いていたコートを取り、着る。カバンからマフラーを取り出し、首に巻いた。
「15歳にもなってねえ」
クスクス笑い、カバンを肩にかける。
「な、否定してくれなかったのかよ」
「トイレで水浴びしてました、って言えば良かった?」
ああ、もう口を開くのもつらい。加賀は口をもごもご動かしている。返す言葉が思い浮かばないのだろう。
「じゃあね、また月曜日」
私はのろのろと教室を出た。
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