ホッカイロ

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――ピンポーン 「……うう」  チャイムに起こされる。私はむくりと起き上がり、熱のせいで痛む体を引きずり玄関に向かう。オレンジの皮が盛られた皿とともに。 「はい」  インターホンに出る。 「か、加賀と言いますが、み……有希さんのお見舞いに」 「加賀!?」  私はリビングにあるテーブルに皿を置くと、玄関のドアを開けた。 「なんでうち知ってんの?」  むくんだ顔で、加賀を招き入れる。 「担任に聞いた。これ、お見舞いだ」  加賀は私と目を合わせないで、どっかのスーパーのビニール袋を私に押し付ける。 「……なにこれ」  ビニール袋の中身を見ると、たくさんのホッカイロが入っていた。
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