ホッカイロ

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「……ホッカイロ」 「役にたつかと思って」  私は壁に寄りかかって、加賀を見る。 「ありがとう」  加賀がやっと顔をあげた。その顔を見て、思わず吹き出す。 「な、なんで笑う」 「あー、ごめんごめん」  言いながら、腹を押さえる。痛い痛い、全身が。笑ったせいだ。でも、おかしいんだもん。潤んだ目に赤い鼻、必死につむぐ唇。 「小学生みたいで」 「うるさい」  むっとした表情もまたおかしい。 「あんた可愛いね」  また口が滑った。 「お前に言われたくない」  加賀はそう言ったあと、はっとしたように目を見開く。するとそのまま、邪魔したと出て行った。 「変なひと」  私はホッカイロを抱え、部屋に戻った。
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