227人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい」
僕、ダッサ。できる限り平常を装って、廊下に並ぶ。クスクスと笑い声が聞こえた。
「加賀くんて真面目そうなのに抜けているね」
そんな声が耳に入った。
「さ、卒業式だ」
担任の声にテンションがあがるクラスメート。きゃあとか、やだーとか、様々な気持ちが見て取れた。
「……うん」
僕は気持ちを落ち着かせようと、ポケットに手を突っ込む。ポケットに入っていたミニタオルを掴んだ。水野に借りて、すっかり返しそびれたミニタオル。本人は忘れているのかもしれない。
――これと第二ボタンを一緒に渡すんだ。
行列が一歩一歩、進んでいく。
最初のコメントを投稿しよう!