ネームプレート

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「はい」  僕、ダッサ。できる限り平常を装って、廊下に並ぶ。クスクスと笑い声が聞こえた。 「加賀くんて真面目そうなのに抜けているね」  そんな声が耳に入った。 「さ、卒業式だ」  担任の声にテンションがあがるクラスメート。きゃあとか、やだーとか、様々な気持ちが見て取れた。 「……うん」  僕は気持ちを落ち着かせようと、ポケットに手を突っ込む。ポケットに入っていたミニタオルを掴んだ。水野に借りて、すっかり返しそびれたミニタオル。本人は忘れているのかもしれない。 ――これと第二ボタンを一緒に渡すんだ。  行列が一歩一歩、進んでいく。
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