ホッカイロ

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「……なにが」 「わ、また声に出してた?」  私は机から降りると、自分の席に座った。 「加賀と話すの初めてに近いけどさー、あんた面白いね」  にっと笑いかける。 「表情くるくる変わるしさ。今まで話さなかったの、もったいなかったわ」  膝掛けを膝に掛ける。まだほんのり温かい。 「で、好きなひといんの?」 「なんで急にそんな話になるんだよ」 「盛り上がるから?」 「女子の間だけだろ」 「そんなことないよー」  私はそっと、本を支える加賀のひじの裾をつまんだ。 「ねえ、髪、いじっていい?」 「は?」
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