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「悪いってわけじゃないけど、梨香だって仕事してるのに、家のこと全部任せてるのはおかしくない?」
「でも…。」
「女だから?あんた、いつの時代の人間よ?梨香が家事苦手なの知ってるでしょ?あの子、仕事しながら頑張ってやってるんだよ!」
「でも、千秋は全部やってるんだろ?」
「あたしは家で仕事してるし、時間も自由になるからね。比べちゃダメだよ。梨香はハルと同じように通勤してるでしょ。時間も限られてるんだよ。」千秋の言葉が頭に届くまでに時間がかかる。やっと届くと、
「俺が変われば、離婚も考え直してくれるかな?」ポツリと千秋に聞いていた。
「あたしは梨香じゃないから、わからないよ。」
「やってみる。俺、やってみるわ。」
電話がかかってきたときより心が軽い。そうだな、メシ作るか。カレーしか作れないけど、材料あるかな。まだスーパー開いてる時間だし、大丈夫。財布を持って玄関を出た。
「ゴメン。」携帯を閉じて届くわけもないのに謝った。家事を手伝ってくれないというのは、実際結婚した当初から聞いていたこと。でも離婚の原因じゃない。ハル、きっと今頃カレーでも作ろうとしてるんじゃないかな。学生の頃からカレーしか作れなかったもんね。玉ねぎが苦手だから代わりにピーマンを入れるんだったね。梨香、お願いだから今日は早く帰って。ハルがあんたのためにカレーを作ってるよ。
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