0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
3065年―
聴力・脚力・忍耐力…全ての機能において兵器に劣ることがない人間兵器が出来上がっていた。
彼らを“人間”と呼ぶには少し語弊があるが…。
彼らは一見人の形はしているが、その耳とお尻には獣の耳と尻尾が生えていた。
彼らは、優れた能力・知能と共に“感情”まで持って生まれてきしまった。
彼らは“絆”を大切にし、彼ら全員が皆を“家族”と感じていた。
暫くすると数も増え、彼らはブリーダーのもとで暮らすようになった。
完璧なる人間兵器へと育てるため、彼らは先々で過酷な暮らしを強いられた。
モノの様に扱われ、死ぬ者も出てきた。
時にして3078年。
彼らは人間に逆らった。
家族を殺した者を憎み、生みの親を憎んだ。
彼らを排除しようとする人間と、人間を恨む彼らは衝突した。
力では勝るものの数負けしていた彼らと人間の戦力は互角。
争いは一年続いた後、冷戦を迎えた。
戦場となった町は廃墟と化し、人が去った所に緑が増えた。
人は南に集まり新しい国を作った。
日本の北は廃れたが緑豊かな土地に。
そして、そこには生き延びた合成獣達がひっそりと暮らすようになった。
南は、人が新たに作った国で栄えるようになった。
お互いが干渉しあわない。
“不可侵”
それが暗黙の条約。
それが破れた時、どちらかが絶えるまで続く戦いが再開される―…。
.
最初のコメントを投稿しよう!