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「おっ、帰ってきたぞ」
母が今日の飯を持って帰ってきた。ここから見る限りあれはネズミかなんかの肉だろう。
兄弟たちがみんなで我先にと頭を伸ばしている。
だが私にはできるはずがない。なぜ父と母はこんなにも高い木の上に巣をつくったのだろうか?
兄弟たちのように乗り出したら落ちてしまいそうだ。
「もう一回行ってくるからいい子で待ってなさいよ」
そうやって黙っているうちに今の飯はすべてなくなってしまった。母はもう一度飛び立っていった。
しばらくして母は帰ってきたが、やっぱり私はほとんどありつけないのだった。
そんなコンプレックスを抱えたまま日々は流れた。食の量が極端に少なかった私は兄弟の中で最も小さく、その差は一回りや二回りどころではなかった。
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