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「簡単なことだ。その翼を大きく広げてみろ。風を抱くのに十分な大きさがある。みなやっているだろう。空を恐れる必要などない。私を見てみろ。翼も持たないのに私は空を飛んでいる。それも坊やでは到底届かないような高さだ。確かにこの高さから落ちたらと考えて震えないこともない。だがそれでも飛んでいなければならないのだ。坊やと同じように私の種族も飛ばなければならないからな。それに、坊やの種族の中で空を飛べなかった者を私は知らない」
「・・・・・・・・・それは、私にもできるのか?」
「あぁ、坊やの背中には翼がある。何を恐れる必要がある?飛べない理由がないだろう。なくても飛べる者がいるのになぜ持っている坊やが飛べない?ありえないだろう」
その言葉を、私は待っていたのかもしれない。私にもできる。それを誰かに教えてほしかったのかもしれない。
「・・・・・・・・・月よ、私もやってみよう。その言葉には助けられた。礼を言う」
月は小さく笑った。
「そうかい。それがいい」
「これから空を舞う私の姿を、見ていてほしい」
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