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桃ちゃんが両手を広げた。
桃ちゃんの肩に顔をうずめたら、ポンポンって背中を叩かれた。
「違うよ。それじゃぁ、なんか・・・親子みたい。もっと恋人っぽい感じで」
ただの願望。
桃ちゃんの中にはきっともう、
私の犯した罪が、桃ちゃんの犯した罪のように刻まれてる。
だから。今はただ。私の欲求を伝えただけ。
「うーん、どんな感じだと恋人らしいの?わからないよ」
「わかんないけど・・・。今のは違う。」
桃ちゃんは少しだけ考えて、
「鈴がわかんないことは、分かんないよ」と言った。
だから、「とりあえず、もういっかい。」って伝えた。
恋人同士がどんなことするのかも、良く分からない私たちに、
何をどんな風にしたら「恋人」らしいのか、なんて。
分かるはずもなかった。
たぶん、何をしたって「恋人同士」がすれば恋人らしくて、
そうじゃない2人がどんなにがんばったって、「恋人らしく」はならないのかも。
だからこれは、口実。
桃ちゃんにもっかい、ぎゅってしてもらうための。
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