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背中に桃ちゃんの腕がまわる。
目が合う。合わせた、のかも。
近い距離で、こんなに近い距離で、
私の瞳の焦点はいったいどこにあるんだろう。
桃ちゃんの瞳を見つめてるけど、
もっとずっと奥を見てる気がする。
そんなとこは、見えないはずなのに。
見えないものを見ようとして、ゆっくりと瞳が焦点を失っていく。
何を見てるか分からなくなるほど、桃ちゃんを見てた。
教科書に「いい雰囲気」の作り方が載ってない理由が分かった。
だって、本能で分かるから。
例えば、今、キスしてもいいんだって。
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