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「痛いよー、桃ちゃん」
「あっ・・ごめっ。・・・でも、恋人っぽかったでしょ?」
「うん、恋人みたいだった。
・・・・あのね、桃ちゃん。大好きだよ」
どうしよう。
目も耳も心も。鈴を感じるためだけに存在してる。
もう一度。飽きるまで、その言葉を繰り返してほしかった。
飽きることなんてないと分かっているのに。
永遠は存在しない、と自分に言い聞かせて
「うん、私もだよ」と頷いて、
着替えに行く鈴の背中を見送った。
鈴はこの恋人ごっこの終わりを告げなかった。
いつ終わるとも言わなかった。
それだけが今、鈴の背中を見送る私のたったひとつの救いだった。
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