『キス』

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  部屋代は、部屋のドアについている両替機みたいなもので払った。 鍵を入れると、 時間が計算され、料金が表示される。 3千円とちょっと。 鈴を独占するのに、これだけしか、かからなかった。 鈴は自分が誘ったから全額出すと言い出した。 「恋人は二人でひとつなんだよ」と適当なことを言って、なんとか半額にさせた。 鈴を感じた自分の罪を少しでも帳消しにしたかった。 お金なんかで出来るはずもないのに。 エレベーターを待つ間、 繋いだ鈴の手にキスをした。頼まれもしないのに。 帳消しにしたいはずの罪を、重ねた。 恋人ごっこが続いている証拠がほしくて。 部屋を出ても、 エレベーターに乗っても、 このお城から離れても、 この甘い罪を重ね続けることで、恋人ごっこを途切れさせないために。 終わらせないために。  
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