熱病。

4/11
前へ
/239ページ
次へ
  起きたり寝たりを繰り返して。 何度目かの寝起き。 ベッドから出ようとしたのに、体が言うことを聞かなかった。 いったいどれくらい寝てたんだろう。 ママが作ってくれたおかゆが、机の上に置いてあった。 ママには悪いけど、食べないだろうな。 食べたいと食べたくないとか、そういうことじゃなくて。 食べても食べなくてもいい。 ただものが喉を通るとか通らないとか。 ううん。のどを通る感覚だってきっとない。 だから。食べても食べなくても一緒。 ベッドから起き上がれないまま、天井を見つめた。 マラソンの後と同じように腕で顔をさえぎる。 おでこが熱い。前が見えない。 今、何時なんだろう。 だけど腕が重くてひんやりと気持ちよくて 自分の腕なのに振り払えなかった。 壁にかけてある時計を見ることが出来ないまま、 また眠りに落ちた。  
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加