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公立中と私立中の分かれ道。
まっすぐ坂を下りて左側に私立中の門が見える。
門よりずっと下った坂道の向こうに、桃ちゃんの姿を探してしまった。
ゆうくんが「じゃ、ばいばい」と言ったのに気付けなかった。
ゆうくんに肩を叩かれて、我に返った。
「大丈夫?やっぱ、まだ風邪なんじゃない?」
「そうかも。ごめんね。ばいばい。」
坂道を下って、正門のほうへ、みんなが吸い込まれてく。
坂道を上がってきた人も吸い込まれてく。
みんな、みんな同じ方へ歩いていく。
私は門に吸い込まれないようにして、待っていた。
桃ちゃんを。
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