『おはよう』

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この角を曲がったら鈴がいたらいいのに。 毎朝毎朝、いつもいつも思う願い事を、今日も同じように思いながら歩く。 急なクラス替えで1組の鈴と同じクラスになれるとか、 鈴が隣に越して来ればいい。とか、 そんな叶いそうもないことは願ったりしない。 ただ、偶然。 鈴の登校時間と重なって、 出来れば彼氏とさよならした後で、 1人きりの鈴に出くわせたらいいな。 そんな現実的なことを少しだけ願う。 そうして角を曲がって、正門を見上げたら、鈴がいた。 あんまり考えていたから幻かと思った。 それでも、幻でもいいから、私は鈴に駆けていった。 願えば願っただけ、 思えば思っただけ、 幻影でもいいから見せてくれるなら神様も捨てたもんじゃない 。  
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