降誕祭

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時刻も夕飯時になり、各々作業がもう終わっていた頃。 槐たちの屋敷では漸く、クリスマスパーティーが始まった。 槐と泪のグラスには林檎サイダーが、風令と雷のグラスにはシャンパンが注がれている。 「じゃあ‥」という風令の掛け声で、四人のグラスが綺麗なタイミングで合わさった。 「「「「メリークリスマス」」」」 それからは槐が拵(コシラ)えた料理に舌鼓を打ちつつ、楽しく喋りながらの食事だ。 「エンジュー!このスープ、すっごく美味しい!」 「それはカボチャのペーストが入ってるんですよ。」 「へぇ~。やっぱりエンジュは料理上手だねぇ。」 「風令に比べたらどの人でも料理上手だと思いますよ(微笑)」 「うっ‥‥ひ、酷いよエンジュ。」 「事実ですから。そんな風令にはこの本をプレゼントしてあげます。」 そう言って、槐が渡したのは可愛くラッピングされている一冊の本。 「えー。何々?」 包装を丁寧に剥がして出てきたのは、 “初心者でも失敗しない料理(ビギナー向け)” 「ちょっと待って!?“初心者でも”って書いてあるのに、ビギナー向けって何よ!?」 「風令にはそれぐらいが妥当ですよ。」
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