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「泪!あの‥‥ですね。」
痛いほどの沈黙が降りていた中、槐は思いきって泪を呼ぶ。
先程後ろ手で隠した包みを、ゆっくりと、泪の前に差し出した。
少女の頬は紅潮していて。
その指先は、僅かに震えていた。
「く‥クリスマスプレゼント‥‥です。」
期待をしていなかったと言えば嘘になる。
でもそれが、思っていたことが現実になれば、話は別だ。
嬉しいと喜ぶのは、やっぱり何処かで期待していたからで。
今口を開いたら、声が震えてしまわないだろうかと、変な心配までしてしまった。
「有難う‥」
槐から受け取った包みは手のひらサイズの物で。
開けても良いかどうかを問えば、少女はぎこちなく良いと承諾をしてくれた。
紺色の包みを開き、細いリボンを解く。
「これは‥‥」
泪は目を丸くする。
包みから出てきたのは、
小さなアンティークキーのヘッドがついたネックレスだった。
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