降誕祭

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「辛い時や苦しい時、私を助けてくれるのはいつも泪ですから。」 何処まで堕ちたとしても、 貴方は必ず見付けてくれる。 貴方が鍵だから。 そんな言葉にしない想いまで、貴方に届いているだろうか。 その答えは貴方しか知らないけれど。 受け取った泪の表情は、とても嬉しそうだった。 「あのさ‥槐。」 不意に泪に呼ばれ、槐は顔を上げる。 そこには、些(イササ)か緊張した面持ちの泪がいた。 「僕も、渡したい物があるんだけど。クリスマスプレゼント‥」 「本当ですか?」 ぱあっと顔を明るくした槐の表情は、少女そのもので。 泪もそれを見て、微笑む。 はい、と手渡されたのはモスグリーンの包みに銀のリボンがかけられていた。 開いてみると、そこには金色の三日月のネックレス。 キラリ、と手元で光る。 それを見て、槐は何故だかなみだが出そうになった。  
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