降誕祭

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  “槐が何処にいても すぐに見付けられるように” 月が、闇夜を照らして明るくするように。 その光を受けて、少しでも長く輝けるように。 見付けるのはいつも自分でありたいと。 送り主は少女に言った。 その役目だけは、誰にも取られたくないから。 「泪‥‥」 見付けてください。 いつも、貴方の傍に。 他の誰でもない貴方に、 鍵を開けてほしい。 「槐。」 心地好い次低音で呼ばれ、それが合図のように二人の影が重なった。 屋敷中に、時計の鐘の音が響く。 真上を指して重なる二つの針。 外に雪はまだ降り注いでいて。 「メリークリスマス。」 囁いて、また重なる。 淡雪のような甘い呟きも、その中に紛れて消えていった。 fin.  
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