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そんな煩わしいやり取りを交わして、今は四人でティータイム。
白くて、ぽってりとしたカップからは湯気が立ち上っている。
お茶請けには甘さ控えめのクッキー。
もそもそとそれをかじりつつ、風令はパンフレットらしき物を槐たちに見せた。
「ねぇ、ここ!綺麗だと思わない?」
紅潮した頬を緩ませて、自信満々に言う。
風令が差し出したのは旅行のパンフレットだった。
「私は夜景が綺麗な方が良いと思うんだけど。雷さんは水族館の方が良いって言うのよ。」
風令の細い指の先には、きらびやかなネオンやライトに飾られた夜景の写真。
雷が良いと言う水族館の写真はその隣に並んでいる。
「ねー、夜景の方がロマンチックよねぇ?」
甘えるような口調で、風令は問う。
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