降誕祭

6/14
前へ
/58ページ
次へ
「僕はウィンタースポーツが出来る所が良いな。スキーとか。」 ぽつりと呟いた泪。 泪の視線の先は、全く別のチラシが。 近くにスキー場がオープンしたらしく、スポーツショップからのチラシが沢山入っていたらしい。 「ルイくんはスキーかぁ‥。ねぇ、ルイくん。スキーよりも夜景の方が一緒に楽しめると思わない?」 「え!?ぅ、うーん‥‥」 突然風令に同意を求められ、泪はあたふたと考え込む。 雷は笑って風令をたしなめた。 「風令、せっかくの旅行なんだから好きな方が良いよ。」 「えぇっ!?雷さんまでそう言うの?」 絶対夜景の方が雰囲気出るのに‥‥と溢す風令。 味方についてもらおうと、風令は槐をチラリと見遣った。 うるうるとした瞳に見詰められて、槐は一言。 「そもそも風令たちが旅行に行くのって無理じゃないですか?」 今更だが、この質問。 確かに、足が透けている風令と雷は基本的に外出は無理だ。 昼間に外に出れば尚更。 マントを羽織っていても、足元まであるような長いものでは不自然に映る。 よって、何故この二人が旅行の話をしているのかが理解出来なかった。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加