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人で賑わう町。 店の前に立って客寄せする者や、急ぎ足で道を行く者。 世間話をする者や、刀を腰に携え堂々と歩いていく者。 そんな人々を眺めながら、一人の男は団子を頬張った。 「すみませーん、団子一串ー」 「こっちに二串追加ね」 「はいはーい」 お客の注文に笑顔で答える女の子。 男はそちらの方をちらりと見た。 「お雪ちゃーん、団子一串下さーい」 「あ、はい!」 お雪ちゃんと呼ばれた女の子が小走りで客に近付いていった。 と、その時。 ドンッ 「あっ…、すみませんっ!」 お雪が男にぶつかった。 「姉ちゃん、いてぇじゃねぇか」 ドスの聞いた声。 見ればどこぞの不良の輩達だ。 「本当にすみません、大丈夫でしたか?」 「大丈夫じゃねぇよ、汚れちまったじゃねぇか」 金出せよ、金。 男達がお雪に脅しをかけた。 他の客は怖がって息を飲みながら様子を見守っている。 ある者は勘定を払って、さっさと逃げていった。 「金払えねぇんなら俺らに付き合えよ」 一人の男がお雪の細い腕を掴んだ。 「おいおい、お雪ちゃんに何してんだ」 凜とした声と共に、お雪の腕を掴んでいた不良の手が捩上げられる。そして軽々と投げ飛ばされてしまった。
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