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吹っ飛ばされた不良が地面に倒れるのが合図のように、残りの不良達が声を上げながら男に向かって来た。
「調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
一人の不良が放った拳が男の腕に入った。
しかし男は顔色を変えず、不良の顔を張り倒す。
男は他の不良達が放った拳や蹴りもその身に受けるが、掌で張り倒した。
不良達が顔面を押さえて呻き声を上げる。
「なんだぁ?もう終わりかい」
男は殴られた痕が付いた頬を軽く撫でながら、伏せている不良達を見下ろした。
「ちくしょう、舐めやがって…!!」
再び不良達が立ち上がり、今度は腰にある刀に手をかけた。
「どけどけぇ!!」
野次馬の中から大きな声が聞こえた。
見ると大柄な男が野次馬を掻き分けながらやってくるところだった。
「ヤベッ…奉行所の奴だ!!」
不良達が慌てふためき、直ぐさま立ち去ろうとする。
「おい、お前!!」
一人の不良が男を睨み付けた。
「俺達『豺狼(さいろう)組』に喧嘩売ったこと…覚えてろ!!」
そう吐き捨て、不良達は姿を消した。
「おい桃四郎!」
大柄な男に呼ばれ、先程まで不良達と喧嘩していた男…桃四郎は振り返った。
「おう、倉昌のオッサン。随分来るのが遅いじゃないか」
「馬鹿言え、これでも早い方だぞ」
オッサンと呼ばれた大柄な男が髭の生えた顎を撫でた。
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