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「桃四郎さん、平蔵さん!!」 野次馬が消え始めたころ、二人のもとにお雪が小走りでやってきた。 「おお、お雪ちゃん。怪我はなかったかい?」 桃四郎はヘラッと笑って手を挙げる。 「私は大丈夫です。でも桃四郎さんが……」 「なぁに、こんなの怪我の内にも入らねぇさ」 「駄目です!!ちゃんと手当てしないと!」 殴られた頬を撫でてから、桃四郎はお雪に背を向けた。 「俺を心配してくれるなんて、優しいねぇお雪ちゃんは…そんなところが、俺は大好きだ」 バッと振り返り、お雪を抱きしめようとしたが、その両手は空振りした。 「あれ?」と間抜けな声を上げる桃四郎。 姿を消していたお雪は、団子屋から救急箱を持ってくる。 「さあ、手当てしましょう」 「ははっ。そうだ、手当てついでに話でも聞かせてもらおうか」 倉昌は笑いながら片方の手をお雪の背に添え、もう片方の手で桃四郎の腕を掴むと団子屋へ入っていった。 .
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