3人が本棚に入れています
本棚に追加
「…そうか」
倉昌は桃四郎の横顔を見て、「すまない」とだけ呟いた。
「いや、別に気にしちゃいねぇよ」
桃四郎はいつも通りの陽気な笑顔に戻り、団子を一つ食べた。
「…あ、そうだオッサン」
ふと、団子を食べいた桃四郎が思い出したかのように声をあげた。
「なぁ、豺狼組って知ってるか?」
「豺狼組…だと?」
「ああ、さっきの不良達が言ってたんだ
俺達『豺狼組』に喧嘩売ったこと…覚えてろ!!
てな」
そこまで言うと、倉昌がいきなり立ち上がった。
「豺狼組って…あの豺狼組か!!」
「な、何だよいきなり」
倉昌の剣幕に、桃四郎はたじろぐ。
「その豺狼組って、何なんだ?どこの農業組合?」
「馬鹿かお前は!!農業組合な訳ないだろう、豺狼組は今俺達が追ってるヤクザどもだ!!」
「や、やくざ……!?」
桃四郎はヒッと顔を引き攣らせた。
「豺狼組…お前、とんでもねぇのを敵にしちまったな……」
「えっ、ちょ、マジで?それマジで言ってんの?ヤクザだなんて嘘でしょ?ただの不良の集まりみたいなのじゃないの?」
「そんなあまっちょろいもんじゃねぇ…あいつらは平気で人を殺してやがる」
倉昌の深刻そうな顔を見ていた桃四郎は生唾を飲み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!