ホットミルク

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我に戻るとまたこの気持ちが悪いぐらいの真っ白で枝のような腕には紅い"印"が出来上がっていた。 ああまたやってしまった。 黒が支配するその部屋において紅は灯となりポタ、ポタ、と紅い水滴がとめどなく腕を伝い、スウェット・毛布・絨毯にその存在を示していた。 それは闇の中に映える紅、慟哭の深き森の中に咲いた一輪の薔薇のようだ。 その光景を眼前に、自然に僕は微笑んでいた。 まだ大丈夫、僕は生きてる。死んでなんかいないと暗示するように。
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