TASPO狩り

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とうとうこの日が来た。タバコがなくなった。 童顔の僕ではコンビニでもタバコ屋でも未成年であることはばれる。 自販で買えた頃はよかったよ、本当に。 ・・・そうだ!TASPOだ。オヤジ狩りならぬTASPO狩りだ!自販で待ち伏せしてやれ。 来た! あれは30代だろう。関係ねぃ。やっちまえ! 「おじさん。タバコかいてぇんだ。TASPOくれ。」 「誰がおじさんだコラァ!テメェ海に沈めるぞこのヤロー!」 まずい。元暴走族か?丁重にいかないとヤバイ。 「あの、僕クラスで地味なのでタバコでも吸って迫力をつけようとおもっているんです。」 「タバコはダメだ。」 「おじさんはいつから吸ってたの?」 「誰がおじさんだコラァ!」 「はい。兄貴!いつからですか?」 「14歳だ。」 「だったら僕だっていいじゃん!もう16歳だし。」 「駄目だ背が伸びないぞ。」 「大丈夫だよ。牛乳飲むから・・・おじさん、いや兄貴だって吸ってたんでしょ?・・今だって吸ってるし。」 「大人はいろいろあるんだ。時には死にたくなることだってあるんだよ。」 「それで死にたくてタバコ吸ってるんですか?」 「とにかく色々あるんだ、大人は。あと恋人もいねぇ。」 「だったら女紹介するから、TASPOくれ。ただ高校生だぜ?」 「ほ、本当か?」 「でも付き合ったら犯罪だろ?」 「お前のタバコだって犯罪じゃないか。」 「犯罪の重さがちがうだろ。」 「むかしは、タバコだろうが酒だろうが、学生は学生なりに接していたもんだった。エロも淫行も酒もタバコも、締め付ければ締め付けるほどにどんどん地下にもぐって、いびつなものになっているような気がしてならねぇよ・・・今の時代くらい金と暴力がものをいってる時代もえねぇような気がするな。」 「だったら女子高生の話にのっちゃだめだよ。」 「君だってタバコは駄目だ。」 「わかったよ。TASPOは諦める・・・万引きが手っ取り早ぇや。」 「そうだ。万引きが一番だ・・・っておい!・・・とにかくタバコはやめろ。体に悪い。俺のオヤジは10代からタバコを吸っていて、今は・・・」 「肺がんになったの?」 「いや、ニタニタして生きている。」 「・・・なんだかわかんないけど、疲れたからもう帰るよ。でも・・・ありがとう、とっつぁん!!」 「誰がとっつあんだコラァァァ!!!!」 という怒鳴り声を背中に僕は家に帰りました。 めでたし めでたし。
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