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あれから何年か経った小さな村の小さな駅のホームに、一車両だけの電車が止まった。
暖かい空気で満たされ眠気さえ感じる電車の扉が開くと、乾ききった冷たい風に撫でられた俺は真っ黒なロングコートに体を埋めながら扉をくぐった。
名前は谷川 悟(たにがわ さとる)
俺には何か目的があってここに来た訳ではなかった。
気付けばここに辿り着いたのだ。
何かに誘われてって表現があるが、それが一番しっくりくるかもしれない
「何か寂しい場所だな…」
ホームから見える掘っ建て小屋みたいな木製の駅には人らしい人は居ないだけではなく、駅員さえも居ない始末だった。
俺は軽く肩を竦ませてから駅へと足を踏み入れた。
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