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登りきった俺を迎えてくれたのは、下からでも十分デカく見えた大樹と冷たく澄んだ風だけだった。
社は何年ものあいだ放置されてしまっていたらしく、所々が腐敗して崩れかけていた。
「ここはね♪私の大切な場所なんだ♪」
と無邪気に笑いながら少女はトコトコと大樹の方へと歩いて行ってしまった為、俺は大切…ね…と呟きながらそれに続いていると、少女はクルクルと踊るような器用な足取りで口を開いた。
「ここで交わした約束は、どんな形にしろ果たされるって言われてるんだよ♪」
「…ありきたりだな」
「でもさ。よく言うじゃん。信じる者は救われるって♪」
信じる…ね…
「──って事は、君はここで約束をしたみたいだな。誰と何の約束をしたのかな?」
「言わないよ。言っちゃうと約束が駄目になっちゃうかもしれないもん!」
真剣に拒否ってくる少女に苦笑した。
今では珍しいほどの純情ぶりに
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