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幻想郷の果てに湖がある。
氷精をはじめとする妖精たちの住みかでもあるここには、人が寄り付くことは滅多にない。
地勢などもその原因の一つだが、何より大きな理由がある。
湖の先に佇む館、紅魔館。
人ならぬ異形の者の居城と云われる、その伝説である。
――紅魔館には悪魔がいて、立ち寄った者は皆悪魔に血を吸われて殺される。
紅魔館に入った者が誰一人帰ってこなかったことから、人里の民はそんなことを囁きだした。
人里で噂が広まってどれほど経っただろうか、今では命知らずな訪問者すらおらず、紅魔館の門は全くもって閑散としていた。
「……ふぁ……」
したがって、門番である紅美鈴は非常に退屈だった。
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