紅魔郷の10年くらい前

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「……ふぅ」 紅美鈴は、紅魔館の門番だ。 「全く、強引な人だよなぁ……」 しかし、今はその任を解かれている。 クビになった、というわけではない。別の命を受けているのだ。 「美鈴、できたよ」 「あ、うん。それじゃちょっと見せてね」 美鈴の名を呼んだのは、メイド服に身を包んだ少女。美鈴は応じ、審議を始める。 「んー……ふむ」 「どう?」 美鈴の評価を待つ少女の顔には、幼いながらも凛とした表情に若干の緊張を孕んでいた。 「文句ナシ!よくできましたっ!」 「ほんと!?」 その緊張は美鈴の言葉で吹き飛び、満面の笑顔が弾けた。 「うん、もう完璧ね。すごいね咲夜ちゃん」 「うん!」 「いやー、まさかここまで覚えが早いとは。こりゃ私を超えるのも時間の問題かもね」 「へえ。それは一体なんのこと?」 「ええ、咲夜ちゃんに折り紙教えてたんですけど、もう何教えても一回で覚え……て?」 なにやらすごく嫌な予感がした美鈴がおそるおそる振り向くと、悪魔が立っていた。 「……お嬢様」 「じゃあ、私は門番のへし折り方でも教えようかしら」 「ひぃ!」 紅魔館に鳴った奇怪な音は、同時に鳴り響いた絶叫にかき消された。
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