33人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ふぅ」
紅美鈴は、紅魔館の門番だ。
「全く、強引な人だよなぁ……」
しかし、今はその任を解かれている。
クビになった、というわけではない。別の命を受けているのだ。
「美鈴、できたよ」
「あ、うん。それじゃちょっと見せてね」
美鈴の名を呼んだのは、メイド服に身を包んだ少女。美鈴は応じ、審議を始める。
「んー……ふむ」
「どう?」
美鈴の評価を待つ少女の顔には、幼いながらも凛とした表情に若干の緊張を孕んでいた。
「文句ナシ!よくできましたっ!」
「ほんと!?」
その緊張は美鈴の言葉で吹き飛び、満面の笑顔が弾けた。
「うん、もう完璧ね。すごいね咲夜ちゃん」
「うん!」
「いやー、まさかここまで覚えが早いとは。こりゃ私を超えるのも時間の問題かもね」
「へえ。それは一体なんのこと?」
「ええ、咲夜ちゃんに折り紙教えてたんですけど、もう何教えても一回で覚え……て?」
なにやらすごく嫌な予感がした美鈴がおそるおそる振り向くと、悪魔が立っていた。
「……お嬢様」
「じゃあ、私は門番のへし折り方でも教えようかしら」
「ひぃ!」
紅魔館に鳴った奇怪な音は、同時に鳴り響いた絶叫にかき消された。
最初のコメントを投稿しよう!