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一応断っておくが、美鈴が受けていた命は、折り紙講座ではない。
話は数時間前まで遡る。
「そいつ、気に入ったわ。ウチで育てましょう」
「……へ?」
思わず言葉に詰まる美鈴。
「育てる、って……この子をですか?」
「他に誰がいるのよ」
「いやまあ、そうですけど」
美鈴にはレミリアの宣言が信じられなかった。
どう見ても、件の少女は人間だ。
人間を捕食する立場の妖怪が人間を育てるというのか。
そう言うと、
「別に、それがいけないなんて決まりはないじゃない」
と返される。
「それは、まあ……」
確かにその通りではあるが……。
「とにかく、私が育てると決めたんだからそうするの。お前はしばらくそいつの教育係にでもなってなさい。その間門番は他の奴にやらせるから」
言い切って、レミリアは自室へと戻っていってしまった。美鈴としては立ち尽くすしかない。
「うーん……」
考えること数秒、
「……とりあえず、門番しなくていいならいいや」
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