~プロローグ~

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どこか…… 建物の中…… 長い長い廊下を 2人で走り続けている…… 年の頃は18、19というところか…… 息が切れて走るのが辛くなっても 2人は走る事をやめない…… 何故なら2人は逃げているから…… なにから? それも今では分からない…… けど、2人は逃げていた…… ありとあらゆる苦難も 2人でいれば平気だった…… その建物から飛び出すと 見渡す限りの広大な砂漠が 目に飛び込んできた…… 建物の最上階から出てしまったらしく、 男はどこか降りれる場所を探す為に、 繋いでいた手を離し、女に背を向ける…… その瞬間…… 男の背中に鈍い痛みが走った…… 女が男の背中に ナイフを突き立てている…… 男は振り向くと一瞬悲しい顔をし、 瞳を絶望の色に染まらせた…… 足が覚束なくなり、ふらついた男は、 その場所から落下していく…… 意識を失う直前、 男は確かに見た…… 女が涙を流すのを…… 男は砂に呑み込まれ、 浮かび上がってくる事は 決してなかった……
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