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不思議な内容の手紙
しかし、私はそれに興味を持った
死者の復活
蜘蛛との契約
現実離れした内容が、好奇心を今まで以上に駆り立てる
もし、もし儀式が成功すれば
死者は本当に蘇るのだろうか
真由は、この世に戻ってくるのだろうか
だとすれば、私は……。
手紙を片手に考えに耽っていたとき
ふいに世界が歪んだ。
否
歪んでいるのは私の部屋だけだ
壁、床、すべてが曲がり、混じりあい、視界を変えていく
変動が収まった末には、そこは部屋ではなかった
赤黒い、空間
目の前には、ただそれだけ
「何…ここ…」
かつて絵本などで見た地獄のような色が占める辺り
上下左右、すべてが紅だ
私は恐れを感じた
それは、さっきと同じもの
手紙を手にしたときと、変わらぬもの
あれは本当のことだったのか。
だとするならば、ここは…。
《我ハ、蜘蛛…》
唐突に、頭に響く声がした
《死者ヲ冥府ニ導クモノナリ…》
姿の見えない蜘蛛の声
地の唸りのような、声音
《汝、死セル者ノ生還ヲ願ウカ?》
私は呑まれかけていた意識を引っ張りあげた
真由の、復活。
蜘蛛の呪いは本当だった
なら、儀式が成功すれば
真由は蘇る…。
しかし、相応のリスクを伴う
苦痛を、味わうことになる
蜘蛛と契約するか
拒否するか
答えは、ひとつ。
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