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ぼくは家に帰るために抜け道の公園に入った。
もう遅い時間だから公園には誰もいないと思ってたけど
「うぇ~、うぐ、うぐ……」
とても小さな泣き声がぼくの耳に届いた。
見ると同じくらいの女の子が泣いていた。
そのまま過ぎていこうとも思ったけどその時は何故か体が引き寄せられて少女の所へ足を運んでしまった。
「どうしたの?」
少女はびくっと身体を震わせてこちらを向いた。
「だれ?……」
とてもつぶらな瞳で聞いてきた。
「ぼくはすめらぎこういちだよ。きみは?」
「うぐ、私は………っていうの」
話を聞くと親の仕事でこの街から引っ越すらしい。
「うぐ、うぐ、いきたくないよ~」
またぐずりだした。
こういうときはこれだ。
「ていっ」
「はう!」
デコピンをされて少女はおでこを抑えた。
五歳の力じゃそこまでいたくないはずなのに
「なにすんの!」
「泣いてたって意味ないじゃん。だったら笑うか怒ったほうが何倍もいいってお姉ちゃんが言ってた」
笑いかけると少女はふてくされたようにそっぽを向いた。
「だったらいっしょに遊んでよ。だめ?」
「いいよ!」
即答さ、だって断るとまた泣きそうだったから……
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