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「進化とは個だけでは成しえない、協力があってこそのものだった」
「だった?」
訝しんで問い返したが、淡々と話しを続けた。
「私たち人は社会という枠組みの中で、また、個に立ち返っている。
求め合った昔の個とは違う。今度は個を求め、孤独な群衆になっている。
進化の道筋を放棄したのだ」
一切の感情が表れないまま語る。この男は憂いているのか、喜んでいるのか全くわからない。
「進化の放棄はすなわち、未来の閉塞に繋がる。始原への収束とは違う、堕落と終息への道だ。
進化の持つ意味は未来と宇宙にあり、つまるところ、精神と物質を超えた根源の解明にあるのだ。
それらは協調・協力なくしてはありえない」
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