進化について語りだした人

2/7

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
 ガタゴトと揺れている。腕を枕代わりにして窓に寄り掛かり、うとうととしていた。  寝呆け眼をこすり、目を窓の外に向ける。外には黒い森と雲一つない青空が広がっていた。  流れる景色に見覚えは無い。    車内に目を戻すと向かいの席に四十才ぐらいの男が、深々と帽子を被り、腕を組んで寝ていた。  起こさないよう気を付けながら立ち上がり、トイレに向かった。    用を足し、戻ってくると男は目を醒まし窓の外を虚ろに見つめていた。  邪魔にならないよう通路側の席に静かに腰を下ろし、なんの気なしに車内を見渡した。僕と男以外に誰も居ないようだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加