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また外の景色を見ようと窓の方を振り向くと、ほぼ同じタイミングで男がこちらに振り向き、目が合った。
すると男は口を微かにパクパクと動かし、何か言いたげな所作を見せた。
だが、なかなか話しださない。きっかけの言葉が見つからないのか、聾唖なのか。
その間、僕は男の目を冷めた心持ちで覗き込み、相手の真意を掴もうとした。
一層相手の目から何かを汲み取ろうとしたところで男はやっと言葉を発した。
「私の目から何か掴み取ることは出来たかい?」
僕はどきりとした。ここまでの間は試すためにわざと設けたものだったのかと。
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