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『ちっくしょぉォォォ~!』
『てめぇをぶっ殺すッッ!』
激しい草煙りが巻き上がり安岡と荘司は拳銃を奪い合っていた。
『やめろ荘司君ッ、やめるんダァーッ!』
カチャ!
次の瞬間荘司は安岡から拳銃を奪うとそのまま馬乗りになり安岡の額に拳銃の銃口を突き付けていた!
『ハアッハアッハアッ…』
『ハアッ…ハアッ…ヤレよ…ほらどうしたアァッッ!』
安岡は薄ら笑いを浮かべながら震える手で銃を構える荘司を威嚇した。
『ハアッハアッ…』
『やめるんだ荘司君ッッ!』
『来るな先生ッッ、こ…これは俺とコイツの問題だッッ!』
荘司は引き金を引いた。
『やめるんだ…お願いだからやめてくれ…その人を撃ち抜いた瞬間君は犯罪者ッ、人殺しになってしまうんだぞッッ!もう二度とまともな身体で故郷の地を踏み締められないんだぞッッ、お母さんと…』
『分かってるッ、んな事位分かってるんだよチキショォォォ~!』
猛はゆっくり荘司に近寄った。
『その男の…いいか聞くんだ!…その男の寿命はあともう僅かだ!』
『!ッッッ…な…!』
荘司は汗まみれで猛の顔を見た。
『…な、何だよそれ…マジかよ…先生アンタやっぱり…嘘だろ?』
『はっきり言うよ?今から君が撃つ銃弾がその男の寿命を終わらすのか、そうじゃないのかは僕にも解らない…だけど君が本当にそれで正しいと、彼の運命の見届け人となりえる人間なのだとしたらもう僕にはなす術がない…運命には逆らえないからね…だけど…だけどもしそうじゃないとしたら…君は君の判断で今その引き金を引かなければ君は君で居られるんだよ荘司君ッ!』
『せ…先生…クッ…』
荘司の目から涙が溢れ出した。
『今この間違った判断であとの残った貴重な人生を無駄にしないで欲しい…お願いだ…』
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