#気になる#

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入学式っていうのは、やっぱり期待に胸膨らませ、桜並木をドキドキしながら校舎の門まで歩いてくようなものだと思っていたが、案外そんなでもなかった。 というのも、僕のこれから三年間通うであろう高校は、同中学から来た奴が大半を占めてるし、制服も中学同様に学ランだったから、たいした違和感もなかった訳である。 その高校だって、文化祭なんかあった時にはお邪魔してるし、なにより我が母校である東中(ひがしちゅう)から5キロと離れていないのである。 高校に行くまでに緊張したかと聞かれても、ワクワクとかドキドキとかはしなかったな。 「ようハルヒコ、朝っぱらから寝ぼけた顔して、もしかして入学前の緊張で眠れなかったとか?」 と、突如現れたのは中学からの友人 新井 知宏(あらい ともひろ)だ。それとついでに言っておくと、小学校の遠足前日よりは寝れた事をお知らせしよう。 「友人? 親友の間違いじゃないのか?」 いや、友人で充分だ。なにしろ違う高校に別れていたら、約三ヶ月でその存在を忘れている自信はあるぞ。 親友ってのは、いつまで経っても互いの事を忘れはしないだろう。 「そりゃひどいこって」 新井は両手を挙げてお手上げのポーズをとると、話題が無くなったのか、その手をそのままズボンのポケットに持っていき、黙って隣を歩いた。
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